もう一人の「鈴木」-鈴木俊隆

絶版になっていて一度読みたいと思っていた本が、新しく出版された。

本のタイトルは、「禅マインド ビギナーズ・ビギナーズマインド」

著者は、「鈴木俊隆」という。

日本の仏教や禅を世界に紹介した人に「鈴木大拙」がいるが、この人はもう一人の偉大な「鈴木」だ。

鈴木大拙さんはダイナミックな表現、悟りについての詳細な表現で読む人を魅了し、多くの著作を残した。

しかし鈴木俊隆さんは生涯に1冊しか本を残さなかった。彼がアメリカの仏教・禅に与えた影響に比べると、彼の情報は極端に少ない。

鈴木俊隆さんの名前は、アメリカの仏教やビートニクスなどのカウンターカルチャーに関する本によく登場し、以前から彼の教えを知りたいと思っていた。

しかし「禅へのいざない」というタイトルの本が絶版になり、彼の思想や言動を知ることは出来なかった。

今回、「禅マインド ビギナーズ・ビギナーズマインド」とうタイトルで新しく出版され、やっと彼の言葉に触れることが出来る。

秋の夜、静かに露が降りるように、ゆっくりとこの本を読もう。

ここで語られる言葉を知ることは出来ても、生きることはできないだろうな。

禅は知るものではなくて、生きるものだから。

 

カメラ談義-ぼちぼち堂

恵古箱さんの今月のギャラリーは、「旅する本たちの小部屋」というタイトルで”ぼちぼち堂”さんが古書を展示しています。

私はこの「ぼちぼち堂」という名前が大好きで、以前からゆっくりと話をしてみたいと思っていました。

恵古箱さんでゆっくりと本を拝見した後に、ぼちぼち堂さんとカメラ談義に。

モノクロフィルムでレンジファインダーのカメラを使用するぼちぼち堂さん。

写真はぼちぼち堂さんの愛機、恵古箱さんの雰囲気にぴったり。

最近になってやっとレンジファインダーのよさが分かるようになってきた私と、カメラの話、暗室の話で盛り上がる。

機械式の古いカメラは大切に使い続けられていて、40年前のカメラでも十分に実用に耐える。

現在のデジタルカメラにはない独特の描写が、とてもやさしくて美しい。

逆光などの描写に優れる現代のカメラが、被写体に向っていくカメラだとすると、古いカメラは、去っていく光・かそけき光を優しく捉える事の出来るカメラだ。

何時の日か、ぼちぼち堂さんと暗室でモノクロをプリントしたいと思った。

消え入る光をモノクロームで表現したい。久しぶりに胸がときめいた。