吉野山の紫陽花

梅雨の少し早い中休みの日に、吉野山に打ち合わせに出かけた。

吉野山の七曲は、細道の両端に紫陽花の花が咲いていて、雨を待つ佇まいが美しい。

桜の賑わいを終えて、梅雨空に包まれた吉野山の紫陽花に、少し寛ぎ、ホッとした気分になった。

吉野山の紫陽花

晴れた日には

昔、アルバイトニュースか何かのコマーシャルで、椎名誠さんが「犬洗い1匹100円」と言いながら木製の盥で犬を洗っていたが、今日は、あまりに天気が良いので、我家の愛犬を洗った。

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こんな天気の良い日は、西脇順三郎の詩が懐かしい。

(覆された宝石)のような朝                
              何人(なんびと)か戸口にて誰かとささやく
              それは神の生誕の日 

これは、天気というタイトルの詩。

今日の日にピッタリの歌だ。

人生の鍛錬

小林秀雄の言葉を年代順に集めた本が出版された。新書で756円と求めやすく、嬉しくなって買ってしまった。

やはり小林秀雄は面白い。すべての言葉が理解出来ることもないけれど、読んでいるだけで心地がよい。

分からないものを、分からないまま読む快楽がある。

格言集のようなものなので、どこから読んでも良いし、どこで終わっても良い。

ふっとした気分転換にページをめくったりする。日本で初めて「批評」という地平を開拓しただけのことはあって、一つずつの言葉に、芯が通っていて、その言葉には、覚悟のようなものを感じる。

やはり小林秀雄はいいな。この方の講演を記録したテープを聴いていると、学問をする人間の精神と志の高さを直接肌に感じることが出来る。もうこのよう存在の人間は生まれてこないかもしれない。

しかしこの本を小林秀雄が知ったら、きっと、怒るだろなと思う。

「ぼくの考えの断片を寄せ集めてもぼくの考えを知ったことにはなりませんよ。短い文章でもいいから、きっちりと読み込んで、そしてぼくという人間に触れて欲しい・・・・・」というような小言が聞こえてきそうで、それもまた楽しい。
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