伝統と革新の間で

吉野には素晴らしい紙漉の技がある。

先日ある切っ掛けで、手漉き和紙の伝承者、福西弘行さん(福西和紙本舗)とお会いする機会に恵まれた。

私はこの方とお会いして、伝統を守り、伝承する方の本当の姿を教えられた。

最高の和紙を作るためには、徹底的に細部にこだわる。
これは、伝統を守るためにではなく、最高のものを作るために必要なことで、
「伝統にこだわるから良いものが出来る」のではなく、
「良いものを作るためには、こだわらなければいけない伝統がある」ことが分かる。

そしてなにより私が感動し教えられたのは、福西さんの精神の革新性である。

どの伝統も、伝統と呼ばれる前には革新であったことが理解できる。

革新が伝統になり、また革新が生まれ伝統が作り出される。
伝統は革新を生み出すためのエネルギーであり、革新は伝統の正当な継承者でる。

福西さんとお話しをしていると、伝統を守る者こそ、革新の正当な伝承者であると教えられる。

今の吉野には、伝統を革新に変えるエネルギーが枯渇しているような気がしてならない。

優しい夕暮れの光と手漉き和紙。和紙には自然の光がよく似合う。
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写真は紙漉の行程で使われる剃刀。私はこの道具の美しさに感動した。
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“伝統と革新の間で” への1件の返信

  1. 伝統の名のもとに胡坐をかいてる者も多々あるけれど、nobuさんの言う通りで 精神の革新性 これが大事ですね。
    何に関わるにしても、精神の革新性 を保ち続けるのはなかなか難しい。
    すぐに慣れに甘んじてしまう精神の弱さよ。

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