春の穏やかな日、
遠くで救急車のサイレンが鳴り
吉野行きの電車の音がかすんで聞こえる。
風にのった花びらが
どこからともなく、舞飛んでくる。
鶯やコジュケイの声がこだまする。
朝の散歩から帰り、
おいしそうにご飯を食べた後
ヨーグルトのパックをなめていたエルク。
急に発作を起こして、
数分後私たちの腕の中で
エルクの魂はボディを離れました。
そのことがまるで当然であるかのように
エルクは、光になり、宇宙に広がって行きました。
この長閑かな春の日
エルクの息する音が聞こえてきません。
エルクと呼んで駆け寄る姿がみえません。
雉の鳴き声は聞こえるのに、エルクの足音が聞こえません。
前回の発作から1ヶ月
私はエルクから多くのことを学びました。
死のこと
大切なものを失うこと
エルクの発作を通して
大きな気づきもありました。
でもエルクが私に与えてくれた最大のものは
愛するという心、慈しむこころ
愛おしいという思いです。
私は涙を拭きながら、この文書を書いています。
この涙には、エルクを失った悲しみの他にも
生きることの意味、死の意味、
愛すること、思うこと
生きていくこと
人が人であるために大切なこと
悲しみ、慈しみ、
喜び、楽しみ
すべてのものが混ざり合った涙です。
エルクが私に愛すること、慈しむことを
教えてくれなければ、私はただ悲しみの涙を流したでしょう。
エルクほんとうにありがとう。
どんな感謝をしても言葉がありません。
エルク、エルク、エルク
ほんとに、ほんとにありがとう。
エルク、愛しているよ。