この空のこの景色

この空だから見える景色がある。

春から夏へと向う、もう一つの季節。

夏を迎えるために、生きとし生けるものが、ひっそりと闇をやり過ごす時。

蕪村に

「 紙燭(しそく)して廊下通るや五月雨(さつきあめ)」

という句がある。

梅雨闇の日中、紙燭を手にした女性が、長い廊下を渡っていく。

闇の中を紙燭の光がたゆたいながら、ゆっくりと流れていく。

まるで一人飛ぶホタルのように。

 梅雨は、一人を楽しみ、孤独を味わう時かもしれない。

 

五風十雨

五風十雨とは、5日毎に風が吹き、10日毎に雨が降ることをいい、順調な天候を現している。

最近は、梅雨の走りで雨が続くが、これもまた五風十雨だなと思う。

良い天気も悪い天気もなく、私たちが自分かってなラベルを天気に貼り付けているだけで、天の気の変化に良いも悪いもないような気がする。

私たちは、ジャッジを下しながら毎日を送っている。どんな些細なことも。

どんな日も、どんな天気も喜べる生き方はどんなのだろう。

ノンジャッジに生きるとはどういうことだろう。

たぶん、仏教でいう「無」の世界は、ノンジャッジの世界ではないのかと、勝手な想像をする。

ノンジャッジになるとき、世界と一つになり、無限の無の中に入るのだろう。

 

良寛さんが、災難を避ける方法を聞かれたときに

「災難に遭う時は、災難に遭うがよろしかろう

死ぬ時は、死ぬがよろしかろう

是、災難を逃れる妙法なり。」

と答えている。

良寛さんのなかでは、どんな災難も五風十雨なのだろう。

 

雨の日には雨の写真。