遠方の消息

黄砂が空一面を覆い、風が吹いて、太陽が隠れる。

東アジアの砂漠から春を告げる消息が届く。

遠方の消息が私たちに影響を与える。

星の動きが、宇宙の力が、大気が私たちにいつも関わっている。

月の満ち欠けが、地球の回転が、銀河が、

すべての存在するものが、影響を与えあいながら、変化し続けている。

このどうしようもない変化、とどまることのない転生。

このことをブッダは、「諸行無常」と言ったのだろう。

すべてが依存しながら、繋がりながら、影響を与えあいながら、

私たちの生が連綿と続く。

なにも独立したもの、単独で存在するものはない。

このことをブッダは、「諸法無我」と呼んだのだろうか。

春の花を見るとき、静けさの中に歓喜を感じる。

このことをブッダは、「涅槃寂静」と名付けたのだろうか。

ブッダの教えは私には難しい。

それよりもエルクがたくさんの大切なことを教えてくれる。

難しい言葉を使わずに、ただそこにいるだけで

生きることの素晴らしさを教えてくれる。

今あることの大切さを伝えてくれる。

愛する心を知らせてくれる。 

黄砂に覆われた太陽

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黄砂に煙る吉野川

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風がやみ、太陽が少し差し込む

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奇跡のエルクは今日の夕方
少し長い散歩に行きました。

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私のどんな言葉も
笑い飛ばすエルクがいる。

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こころはどこにあるのだろう

私たちは、感動すると胸が一杯になる。

つらいことがあると、胸が痛む。

この胸とは、どこにあるのだろうか。

難しいことを考えると、頭が一杯になる。

仕事に行き詰まると、頭が痛くなる。

この頭とはどこのことだろう。

同じ私の中に、どうして胸と頭があるのだろう。

美しい光や小さな花に出会うと、

胸が喜ぶのがわかる。

みぞおちのあたりから、暖かなのもが流れるのが解る。

こころは胸にあるような気がする。

では、頭には何があるのだろう。

エゴだろうか、マインドだろうか。

 

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すべては自然に流れて

エルクはすべてを自然に任せて、悠然と今を生きている。

私のどんな言葉も不自然に響くこの不思議な時間。

「エルクそれは身体に良くないよ」

「エルク無理をしないようにね」

どんな言葉も今のエルクには必要がない。

エルクを前に、私は段々と言葉を忘れていく。

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霜の降りた庭で散歩するエルク、

散歩から帰り駆け寄るエルク、

このかけがえのない瞬間。

一瞬一瞬の時間が愛おしくありがたい。

今を生きることの意味をエルクは教えてくれる。

 

「死は病ではない」という言葉が、藤原新也のメメントモリに書かれている。

私はこの言葉が好きだ。

死は病などではなく、自然と訪れる生のめぐりだ。

霜が太陽の光で溶けるように、

廃墟にも梅が咲くように、

川の水が流れるように、

自然の成り行きなのだ。

私たちもまた、自然の一部だ。

死を悲しむこころを観察すると

自分というものの正体が見えるかもしれない。

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