蝶の影

投げつけられたような朝の光が、寝不足の目にはまぶしい。

手で光を遮りながら、散歩をしていると

尾崎放哉の

「一日もの云わず 蝶の影さす」

という句を思い出す。

 

この蝶の影とは、彼の死の影なのだろう。

胸の病を患いながら、小豆島の小さな庵で一人死を待つ彼に、夏の影が重なる。

放哉の句を思いながら写真を撮った。

 

幸せだけでは生きていけない、不幸だけでは生きていけない自分がいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

盛夏の吉野

忙しい時間を縫って、友人と蔵王堂の木陰を歩く。

カメラを構えながら、シャッターを切りながら、

たわいもない話をする。

ファインダー越しに吉野の夏を感じる。

短いけれど、満ち足りた時間。

 

 

 

 

 

夏の日の光

夏の光に映し出された光景にも、

いろいろな季節が含まれていることが分かる。

今日はなぜか、秋の光が見え隠れする。

写真は見たままを、感じたままを撮る。