ペルツを聴きながら

夏の日射しがあまりに強いので、花の色が褪せて見える。

部屋に戻ってアルボ・ペルツを聴きながら仕事をする。

ペルツの音楽を聴くと、美しいイメージが浮かぶ。

彼の音に似合う写真を撮りたい。

 

 

 

 

小さな旅行

ネガフィルムの入ったカメラを持ち出しては時々写真を撮る。

一日数枚ずつ。

一本のネガに数ヶ月が映っている。

春から夏への季節の変わり目が写っている。

写真を見ていると小さな旅行に出たような気がする。

ネガ独特の色合には、愛おしい時間とやさしい空気が流れている。

 

森へようこそ

川上村へ大径木を見に出かけた。

山道をゆっくりと登る。

事前に注意を受けていたのだが、道の途中にヒルのいるところがある。

立ち止まったり、ゆっくりと歩くとヒルが長靴を登ってくる。

その速度は思っているよりも速い。

泉鏡花の高野聖にヒルにおそわれる話が出てくるが、それを思い出してぞっとした。

だがこのヒルも自然なのだ。

森を美しいという、これも自然。ヒルの動きも自然。

私は森を見て、ヒルを遠ざける。

自分の都合で自然を分別しているのだと改めて知った。

 

美しい川上の森。吉野には珍しい原生林の雰囲気がある。

優しい光が森に閉ざされている。