蝶の影

投げつけられたような朝の光が、寝不足の目にはまぶしい。

手で光を遮りながら、散歩をしていると

尾崎放哉の

「一日もの云わず 蝶の影さす」

という句を思い出す。

 

この蝶の影とは、彼の死の影なのだろう。

胸の病を患いながら、小豆島の小さな庵で一人死を待つ彼に、夏の影が重なる。

放哉の句を思いながら写真を撮った。

 

幸せだけでは生きていけない、不幸だけでは生きていけない自分がいる。