この階段を登ってきたのだろうか。
下ろうとしているのだろうか。
時々わからなくなることがある。
流れる時間をいつも左から右へと、
過去から未来へと眺めてきた。
この時間軸を直角にずらすと、未来と過去が重なって見える。
生まれた瞬間に、遠くの方で自分の死が重なって見える。
出会った瞬間に、別れが重なって見える。
失えば得られ、得られれば失うものが見える。
小さな種に花と実が見える。
枯れていく花に小さな種が見える。
登ると同時に下り、下ると同時に登る。
この階段の途中で少し休みたい。
柔らかな日差しと、春の風が感じられると嬉しい。
疲れが薄まれば次の一歩を踏み出そう。
今の私にできることは、
登ることでもなく、下ることでもない。
一歩一歩を大切に踏み出すことだけなのだ。