言葉を人に伝えることは出来るけれど、気づきを与えることは難しい。
禅の言葉かどうかを忘れてしまったけれど「啐啄同機(そったくどうき)という言葉がある。
ひな鳥が卵の殻を破って外に出ようとするとき、親鳥が同時に殻をつつく。
自分の力だけでは殻は破れない、親鳥の思いだけでも、殻は破れない。
出たい思いと、出したい思いが重なった時に、殻は破れる。
そのような意味だと思う。
禅では、師と弟子の関係は絶対である。
師が弟子を見続け、弟子が厳しい修行を重ねて、同じ時を過ごす。
時期が来たと判断したときに、お互いの思いの重なりとして、悟りが開かれる。
多くの人が、折々に私の殻を破ろうとして、外から突いてくれているのだろうなと思う。
だが、殻が厚すぎるのか、中まで音が聞こえないのだろう。
まず、殻を薄くすることが必要かもしれない。
しかし親が突かなくても、孵る卵はある。
カエルが卵を突いているのを見たことがない。
は虫類や両生類の卵は、きっと殻が柔らかいのだ。
時期が来れば自力で出てくるから。
殻を破ろうとするより、殻を柔らかくする方が少し楽かな。
これならあまり人に迷惑をかけないし。
鳥式よりも、は虫類式の方が自分に合っているような気がする。