光差す影の奥に

光が紡ぐ影の奥を、凝視するように見つめる日がある。

刻まれた影が陰影を濃くし、その奥に存在するものを隠そうとしている。

まるで自分の心の奥を覗き見るように、ファインダーを凝視する。

光差す影の奥に、水の深みに、私の原初があるのかもしれない。

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路地を歩く

生まれ育った路地を歩くと軽いめまいを覚える。

路地の奥に見覚えのある家があり、知らない人たちが話をしている。

周りの風景が呼吸でもしているかのように、膨張したり収縮したりしている。

私が歩いたという痕跡は何処にもない。

私がここにいたという痕跡は何処にもない。

ただ私の記憶があるだけ。

しかし記憶に確かなものなど何もない。

黄昏時に知らない町を歩いてると、

ふっと、私はもういないのだという思いに捕らわれる。

自分がこの世にいないのに、それが分からなくて彷徨っているような気がする。

この路地も私には、もう現実では無いのかもしれない。

 

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写真は、シャッターが切られた瞬間に、風景が入れ替わる。

同じ風景を二度見ることは出来ない。

その場所に、同じ自分を留めることは出来ない。

写真は記録ではないのかもしれない。

記憶の凝縮かもしれない。

虹降る日

窓を見ると雨粒が光で輝いている。

雨の輝きを撮影したくて外に出た。

雲間からの光が雨粒に煙って美しい。

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桜の樹を思い出しカメラを持って振り返った。

美しく力強い虹。

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虹の麓が見たくて、駆けだしていた。

ゆっくりと消えていく虹を見ながら

心の中で、「ありがとう」と数度つぶやいた。

本当は「愛しています」と言いたかったのかもしれない。

私の状態がどのようであろうと、世界の情勢がどうのであろうと

大いなる存在は、いつも祝福してくれる。

4月1日、多くの人の心に天から虹が降りそそいだ。