吉野の杉

吉野に住んでいても、樹齢200年以上、目通りで直径2mを超える杉に出会えることはまずない。

しかし川上村には、大径木の木が存在している。

ケヤキなど雑木の古木を見た時に感じる生命感のようなものとは違う、

潔さのようなものが感じられる。

人工林として植林され、気の遠くなるような時間と、人の思いを経た木の厳かさがある。

朝の光に立つ杉に、木漏れ日が美しい。

木目の通り方、色つや、香りが古来より日本人に愛されてきたのだろう。

泰然自若としたその立ち姿が素晴らしい。

日本人が求めた、人の心のありように似ているような気がした。

 

 

 

 

海の近くの町

石原吉郎の「海を流れる河」の影響かもしれないが、

海と河の交わる汽水の町が好きだ。

 

空の下、河口が大きく拡がり、海へと流れ込む。

河の音が、海と交わる。

微かに波の音が聞こえる。

 

長い旅を経た山の水達は、ゆっくりと、ゆっくりと海水に溶け始める。

ここでは、すべてが遙かに遠い。

いつか私の息が途絶えるとき、

私の意識もまた、ゆっくりと大きな意識に戻っていくのだろう。

河の水が海に戻っていくように。

何故かすごく、ありがたいことだと思った。

 

人通りの途絶えた小さな町は、さび色に滲んで見えた。

ネガフィルムで撮影した。

時間までも写し止めたいと思ったから。

 

LEICA CL SUMMICORN-C

 

 

 

 

喜びをシェアする時

吉野青年会議所主催の第1回吉野CM大賞の発表会があった。

私も、友人達5人とグループを作り、「割箸はうまい!」というコンセプトでCM大賞にエントリーした。

作品の応募者全員が壇上に登って、結果発表を待つ。

久しぶりにドキドキとした時間を過ごす。

私たちの作品がCM大賞最優秀賞を獲得した瞬間、嬉しさが込み上げてきた。

そしてその喜びを仲間とシェア出来る喜び。

私はこのとき、喜びは人とシェア出来て、初めて本当の喜びになることを知った。

人は一人では喜べない、感動できない。

人の心と寄り添うとき、本当の喜び、感動生れる。

この素晴らしい時間を用意してくれた友人たちに感謝します。

どうもありがとう。

吉野割箸の良さをしってもらおうと作成した作品。