下町を歩く

私は大阪の下町で生れ育った。

炎天下、生れ育った場所をゆっくりと歩いた。

夢遊病者のように、ただ漫然と町を歩くいた。

汗だくになりながら。

見慣れた光景、変わってしまった町並み。

消えた人影。

それぞれに、複雑な思いが交錯する。

触れたくない時代、語りたくない言葉の幾つか。

引っ越しをする度に、大阪から遠い場所、遠いところへと移っていった。

私にとって、生まれ故郷とはなんなのだろうか。