瞑想に関する本を読んでいて、その中に「平安の祈り」が紹介されていた。
神様 私にお与えください。
自分に変えられないものを 受け入れる落ち着きを、
変えられるものは 変えてゆく勇気を、
そして二つのものを 見分ける賢さを
この平安の祈りを最初に聞いたのは、もう20年ほど前になる。
アルコール依存症の友人が教えてくれた言葉で、AA(アルコホーリクス・アノニマス)で、会の始まりや終わりで皆でよく唱えるのだと語っていた。
アルコール依存からゆっくりと立ち直り始めた友人が、明るい希望に満ちた顔で話してくれたことを思い出した。
良い言葉だと思ったけれど、当時はそれ以上の思いはなかった。
今改めて読み返すと、奥の深い言葉だなと感じる。
私たちは、変えられないものを変えようとして苦しむ。
変えられると知りながら、なぜか変えることが出来ない。
変えられないものと、変えられるものを見分ける賢さは、どのようにすれば身に着くのだろう。
この言葉を教えてくれた友人とも今は音信不通だ。
アルコール依存症に苦しむ人たちが、この祈りの言葉を、どんな思いで唱えていたのかと思うと、胸が塞がれる思いがする。