クロスロード

国道から少し入ったところに小高い山がある。

急な坂道を上ってくると空き地が拡がり、荒涼とした風景の頂上で道が交差している。

この場所に差し掛かると、いつもクロスロードという言葉が浮かぶ。

クロスロード、交差点。

普段立ち止まることのない道路の真ん中に立って、周りを見回す。

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どちらへも行けるけれど、どちらへも行くことが出来ない。

そんな思いに囚われながら、車に戻る。

いくつものクロスロードの真ん中に立って、私はどのように道を決めてきたのだろう。

音楽が上手くなりたいために、クロスロードで悪魔と契約を交わしたギターリストの伝説があることを思い出した。

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今度、人生のクロスロードに出会ったとき、

思い切って道路以外の道を歩いてみよう。

例えそこが荒野であっても。

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私たちの自由 Me And Bobby McGee

友人がプレゼントしてくれたカーステレオに、ジャニス・ジョプリンのCDを入れて一人で車を走らせた。

私はいつも自由を求めていた。

しかし自由は、求めて手に入るものではないことを、最近になって知った。

求めて手に入るもので、自分を満たすものが無いことも少し分かった。

大切なことは、手放すことだと気づいた。

 

私は、ジャニス・ジョプリンが好きで、彼女のことを思うと胸が切なくなる。

ジャニスの歌を聴くときは、幌を上げて、オープンな空気の中でワインディングロードを走らせる。

カーステレオからMe And Bobby McGeeが流れる。

「私は、赤い汚れたバンダナからブルーハープを引っ張り出した。
それを低く吹くとボビーはブルースを歌った。
ワイパーが拍子を取り、私は片手でボビーの手を握った。」

「自由を違う言葉で言えば、何も失うものが無いと言うこと、
何もない、わかる?、もし自由がなければ何もない」

ジャニスは、きっと自由よりも人の愛が欲しかったのだろう。

二十歳の頃、私は狂おしく自由と自分を求めていた。

今、私が二十歳なら、一体、何を求めるのだろう。

 

初霜の日

今朝は初霜が降りた。

霜が地面を覆い、花を白く装う。

後数日、霜が降りると花たちは枯れてゆくだろう。

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しかし、花は、自分がどのように咲いているかということに興味がない。

ただ在るように咲く。

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花は色褪せることがことがない。

次の色、次の姿へと静かに変わっていくだけた。

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木を離れ、花びらとなっても、静かにそこにある。

掃き集められても、ただそこにある。

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花は、自分以外の何者にもなろうとはしない。

ただ、花自身であろうとする。

人は、いつも自分以外の何者かになろうとする。

良き友人に、理解ある親に、指導者に、幸せに、親切な人に、癒しを与える人に

そしてその時、苦しみが生まれる。

人は、自分であるときにだけ、苦しみを忘れることが出来る。