天川への道すがら、丹生川上神社下社を過ぎたところに合歓の花が咲いていた。
この季節、雨の中で合歓の花を見ると決まって芭蕉の奥の細道を思い出す。
松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし。寂しさに悲しみをくわへて、地勢魂をなやますに似たり
の文章に次の句が続く。
「象潟や雨に西施がねぶの花」
西施という絶世の美女に象潟を重ねて、梅雨に咲く合歓の花を匠に句にしている。
しかしどのような景色を見れば「寂しさに悲しみをくわへて、」という言葉が出てくるのだろう。
合歓の花に西施の面影を感じて、そこから想像が広がったのだろうか。
天才俳人の恐ろしいまでの想像力を感じる。