たましいの宿り木 ツクシシャクナゲ

大台ヶ原のシャクナゲの色は

おぼろげに緋い

肉体から離れたたましいが

宇宙に還るまえのひととき

花に身を寄せ

惜別の想いに涙しているかのようだ

慟哭ではなく、懺悔でもなく

ただ、ただ懐かしむ

新緑の梢に溶け出す想いは

大気に広がり粒子と消える

石の上ではコミヤマカタバミが

空を見上げて微かな風に揺れている