最近写真が少し雑になってきて、何が原因かを考えていた。
残心かもしれないと思った。
残心は、武道などで使われる言葉で、技をかけた後、弓を射った後も心をそこに残し、相手からの攻撃などに備える事である。
またお茶や踊りなどの芸事にも使われる、古くから有る言葉だ。
要は心を残すこと。
お茶の世界では、人との別れを惜しんで、その余韻を味わうことを「余情残心」と言うらしい。
亭主は、お客の姿が見えなくなるまで見送り、その後もすぐに片付けるのではなくて、相手の余韻を味わう。
焦って写真を撮っているからかもしれない。
シャッターを押せばすぐに次の事を考えている。
今撮影した風景に心を残し、その風景との出会いを喜び、別れを惜しんでいない。
ただ撮影しているだけなのだろう。
何か大切な事を忘れているようだ。
ちなみに、すべての動作に心を残すと、とても美しい所作になる。
書店に行って見終えた本を書棚に戻すとき、最後まできっちりと意識する。
相手に頭を下げるとき、手を振るとき、きっちりと相手のことを考える。
指先の最後まで、そこに心を置くこと。
残心をずっと続けると「今を生きる」という生き方になるのだう。
私にはほど遠いけれど。
とても心に残る文章です。
そして、五枚目の写真に視線が残ります。