梅雨の小豆島

研修旅行で小豆島へ。

オリーブと醤油の島は、尾崎放哉が晩年の6ヶ月を過ごした場所でもある。

最高の大学を出て、一流の企業に就職し、美しい妻との理想的な生活を、すべて酒で亡くした放哉。

人間的に問題が多く、酒で失敗を重ねながら、しかし放哉は俳句を作り続けた。

荒んでいく生活の中で、俳句だけは鋭さと深さを増していった。

彼が晩年を小豆島で暮らせたのも、俳句結社の仲間たちのおかげだった。

 
・一日物云はず蝶の影さす

・入れものが無い両手で受ける

・咳をしても一人

・こんなよい月を一人で見て寝る

・一人の道が暮れて来た

尾崎放哉

 

デッキに出て海と空を見る。

梅雨の厚い雲から、ゆっくりと雨粒が降りそそぐ。

フェリーが進むほどに港が霧に消え、遠くに島々が霞んで見える。

エンジンの音が、アルバート・アイラーを、

風の音が、阿部薫を思い出させた。

 

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