ひとけの無い場所

ひとけの無い工場をぶらぶらと歩けるのも、田舎の特権かもしれない。

誰ともすれ違わない、里道を歩けるのも。

午後のひかりに畑の作物が光っている。

どこからか、沈丁花の香りがする。

 

ひとけのない場所を歩くとき、自分の人恋しさに気づく。

この頃の心もとなさは何なのだろう。

人恋しくて、ひとけの無い場所を歩く自分は何なのだろう。