二つの夕暮れ

夕暮れの難波を歩くのは、何十年ぶりだろう。

私が若かった頃より空が綺麗になったような気がする。

1人で歩く都会は少し寂しかった。

 

打ち合わせが終わって外に出ると、春の日がゆっくりと暮れかけていた。

明日香の夕暮れは、やさしくて静かで、空気が暖かかった。

1人でいることが心地良かった。

ひとけの無い場所

ひとけの無い工場をぶらぶらと歩けるのも、田舎の特権かもしれない。

誰ともすれ違わない、里道を歩けるのも。

午後のひかりに畑の作物が光っている。

どこからか、沈丁花の香りがする。

 

ひとけのない場所を歩くとき、自分の人恋しさに気づく。

この頃の心もとなさは何なのだろう。

人恋しくて、ひとけの無い場所を歩く自分は何なのだろう。