白い夢

痛みのない夢を見た。
海岸のベンチで目覚めたときに、また夢を見ていると分かった。

白い板塀の家を過ぎて、公園を通り、駅に着いた。
とてもよく晴れていて、海に向かって電車は出発した。

焦りながら、もう諦めようかと思った。
何を諦めるのか、私には分からなかった。
過ぎてしまったの未来で、自分は過去にとどまっている。

闇も消え光も消えて葛の花

闇でもなく、光でもなく、葛の花は淡く光る。

濃密な香りと足元に落ちた小さな花弁が、霧と露に溶けていく。

人が知ると咲くのではなく、

咲くことで人が知る。

渇望する

昨日ココルームで友人と会った
言葉の要らない関係はとても楽しくて
過ぎた時間などはもうどうでも良かった。

西成は自分を捨てるには丁度いい場所だと思っていた。
三角公園や商店街などをブラっと歩いて気づく。
捨てる自分などないのだと。

屋上から見る大阪は炎天下の元
白濁していた。

渇望する
無色を
透明を


渇望する
溶けていく青と
白濁した緑を


不透明な永遠に
言葉が途切れて
溶解する