私たちの自由 Me And Bobby McGee

友人がプレゼントしてくれたカーステレオに、ジャニス・ジョプリンのCDを入れて一人で車を走らせた。

私はいつも自由を求めていた。

しかし自由は、求めて手に入るものではないことを、最近になって知った。

求めて手に入るもので、自分を満たすものが無いことも少し分かった。

大切なことは、手放すことだと気づいた。

 

私は、ジャニス・ジョプリンが好きで、彼女のことを思うと胸が切なくなる。

ジャニスの歌を聴くときは、幌を上げて、オープンな空気の中でワインディングロードを走らせる。

カーステレオからMe And Bobby McGeeが流れる。

「私は、赤い汚れたバンダナからブルーハープを引っ張り出した。
それを低く吹くとボビーはブルースを歌った。
ワイパーが拍子を取り、私は片手でボビーの手を握った。」

「自由を違う言葉で言えば、何も失うものが無いと言うこと、
何もない、わかる?、もし自由がなければ何もない」

ジャニスは、きっと自由よりも人の愛が欲しかったのだろう。

二十歳の頃、私は狂おしく自由と自分を求めていた。

今、私が二十歳なら、一体、何を求めるのだろう。

 

初霜の日

今朝は初霜が降りた。

霜が地面を覆い、花を白く装う。

後数日、霜が降りると花たちは枯れてゆくだろう。

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しかし、花は、自分がどのように咲いているかということに興味がない。

ただ在るように咲く。

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花は色褪せることがことがない。

次の色、次の姿へと静かに変わっていくだけた。

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木を離れ、花びらとなっても、静かにそこにある。

掃き集められても、ただそこにある。

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花は、自分以外の何者にもなろうとはしない。

ただ、花自身であろうとする。

人は、いつも自分以外の何者かになろうとする。

良き友人に、理解ある親に、指導者に、幸せに、親切な人に、癒しを与える人に

そしてその時、苦しみが生まれる。

人は、自分であるときにだけ、苦しみを忘れることが出来る。

高取城趾 錦秋

明日香と吉野の中間にある高取町に、高取城趾がある。

大きな山城で、高取山(583.3m)山頂に築かれていて、紅葉が美しい。

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 高取城趾には石垣が残されていて、

静寂の中に意志の強さと爽やかさようなものを感じる。

他所では感じることの出来ない、この場所独特の雰囲気がある。

石垣に覆い被さる木々の下を、ゆっくりと散策する。 

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 石垣に流れる時間と、散りゆく紅葉に流れる時間に思いを馳せる。

 散りばめられた錦秋が美しい。

一足ずつに晩秋の音と風を聞く。

心身から日常の雑踏が蒸発していく。

入れ代わるように、静寂が訪れる。

自分への一番のギフトは、この静かな時間だ。

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