五風十雨

紀伊半島をかすめるように台風が通り過ぎた。

夕方5時過ぎに西の空から微かに陽光がこぼれた。

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重く動きの速い雲の下を光りが横切っていく。

光りが動くとき風景が輝く。

ふと五風十雨という言葉を思い出した。

気候が穏やかで順調なことを表すが、台風もまた五風十雨の一つなのかもしれない。

特別ことは何もなく、特別でないこともなにもない。

陽光が雲に覆われる寸前、東の空に一瞬虹が見えた。

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月の光と空の色

デジタルカメラの感度を上げて月の光を撮影する。

月の明かりが照らす、空の色が知りたい。

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カメラの露出をオーバーにし、空の色を写り込ませる。

薄雲がかかった初秋の月は、光りを滲ませながら、空に反射する。

闇が、月の光で青白く輝く。

まさしく光りは闇の中に在った。

汽水

川の流れる果てには、海が広がる。

海水と淡水の交わるところ。

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川幅が拡がり海の香りがする。
漁船が岸に繋がれている。

潮風を横切るカモメの声、空にとけ込む喧騒、雲に滲む光
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誰も知る人のいない汽水の町で、冬を過ごしたいと思った。

誰も私を知らないこの町で、春を迎えたいと願った。

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