紀伊半島をかすめるように台風が通り過ぎた。
夕方5時過ぎに西の空から微かに陽光がこぼれた。

重く動きの速い雲の下を光りが横切っていく。
光りが動くとき風景が輝く。
ふと五風十雨という言葉を思い出した。
気候が穏やかで順調なことを表すが、台風もまた五風十雨の一つなのかもしれない。
特別ことは何もなく、特別でないこともなにもない。
陽光が雲に覆われる寸前、東の空に一瞬虹が見えた。


光と風の交わる場所で
紀伊半島をかすめるように台風が通り過ぎた。
夕方5時過ぎに西の空から微かに陽光がこぼれた。

重く動きの速い雲の下を光りが横切っていく。
光りが動くとき風景が輝く。
ふと五風十雨という言葉を思い出した。
気候が穏やかで順調なことを表すが、台風もまた五風十雨の一つなのかもしれない。
特別ことは何もなく、特別でないこともなにもない。
陽光が雲に覆われる寸前、東の空に一瞬虹が見えた。

川の流れる果てには、海が広がる。
海水と淡水の交わるところ。

川幅が拡がり海の香りがする。
漁船が岸に繋がれている。
潮風を横切るカモメの声、空にとけ込む喧騒、雲に滲む光

誰も知る人のいない汽水の町で、冬を過ごしたいと思った。
誰も私を知らないこの町で、春を迎えたいと願った。
