朝の散歩

昨夜の雨の影響か、今朝は少し靄がかかっている。

夏の光とは思えない、やさしい光が降りそそぐ。

2009-08-05_1047_edited-1

露に輝く草花

2009-08-05_1064

山芋の葉

2009-08-05_1100

盛りを過ぎたあじさいの花が、美しい模様を描いている。
私が染色家なら、ため息をついたかもしれない。

時を重ねて見せる美しさに、心が寄り添う。

明日の私へ、そして友人に

あなたと出会ってから30年以上経ちました。

明日で私は50才になります。

遠回りをしながら、息を切らしながら、時には下を向き、北風に背を丸めて生きてきました。

確かなものなど何もなく、しかしある感覚に導かれて、今日まで生きてきました。

そして最近、私が出会ったのは、あなたと知り合った頃の30年前の私の後ろ姿でした。

しゃがみ込んでいる自分の肩に手を回して、ゆっくりと抱き起こしました。

長い年月をかけて、私は歩いてきたつもりでしたが、自分の周りを回っていただけでした。

私は、30年前の私の手を握って、

人生にはなにも不思議なことはないこと。

近道を、遠回りも、

成功も失敗も、偉い人も、偉くない人も、強い人も、弱い人もいないことを伝えました。

そして、未来も、過去も、時間もないということを伝えました。

あるのは、今ここに自分が存在しているとう事実だけ。

それがどれだけ素晴らしいことかを、30年前の私に告げました。

苦も、楽も、悲しみも、喜びも、

すべて存在する、今を生きているという証なのだと伝えました。

うんとうなずいて、彼は、微笑みながら私の中へと消えていきました。

 

あなたは、出会った時から、ずっと私の友人でした。

私は変わったでしょうか。

あなたはどんどん素敵になっていくけれど、果たしてあなたは変わったのでしょうか。

変わるとか、変わらないとか、気づくとか、気づかないとか、そんなことではなくて、

私たちは、最初から「在った」のでしょう。

 

時々私の写真を見て下さい。

私の写真には私のすべてがあります。

あなたの作品にあなたのすべてがあるように。

そして時々私の事も見て下さい。

そして、相変わらずと笑って下さい。

いつまでも、友人でいてくれて、ほんとうにありがとう。

獏の座布団

蝉の声が弱々しい。

8月1日の太陽は隠れて、遠くの青空と雨を含んだ雲が交互に窓をかすめていく。

こんな日は仕事をしながら、気持ちは彼方へと逸れていく。

明るさへ、静けさへ、身体へ、山之口獏へと。

獏さんの「座布団」という詩を思い出している。

 

「座布団」 山之口獏

土の上には床がある
床の上には畳がある
畳の上にあるのが座布団でその上にあるのが楽といふ
楽の上にはなんにもないのであらうか
どうぞおしきなさいとすゝめられて
楽に坐ったさびしさよ
土の世界をはるかにみおろしてゐるやうに
住み馴れぬ世界がさびしいよ

 

この詩は、友人がくれた高田渡の歌で知った。

「楽に座ったさびしさ」

この言葉を知って、語らなくなった言葉が増えた。

2009-08-02_0946_1

 

2009-08-02_0966