とことこと行く

道路にこぼれる光が美しかったので、車を寄せてカメラを取り出す。

クラクションを鳴らしながら、知人の車がとことこと通りすぎてゆく。

田舎の細道をゆっくりと走ると小さな花がたくさん咲いていて、鳥の声も聞こえてくる。

雑木の細道を上りきった小高い、見晴らしの良い場所で、ホッとため息をつけるようなカフェを開きたい。

r0013042_1

田舎の細道の向こうに素敵なお店がたくさん出来ると嬉しい。

大分で友人が案内してくれたパン屋さんもぬかるみの細道の向こうにあった。大きな、おとぎ話に出てくるようなお店だった。

吉野の宮滝には、細道の向こうに美味しいラーメン屋さんがある。

このブログにも数度登場してもらっているが、町で美味しいものを食べ尽くした方でもこの店を喜んでくれる。

熊野から来てくれた友人を案内したが喜んでもらった。

あっさりとした塩ラーメンと具がたっぷりと入ったマグロ丼が名物。

それに値段が安いということもあって、お昼は待つ人で溢れている。

r0012988

緑で覆われた、この細道のすぐ向こうにお店がある。

花いばら

隣の空き地に野バラが咲いている。

蕪村の

愁いつつ 岡にのぼれば 花いばら

を思い出した。

別に

花いばら 故郷の路に似たる哉

がある。

蕪村は心の機微を表現することに長けている。

ゲーテに「野バラ」という有名な詩があるが、
内容を深読みしてしまいそうであまり好きではない。

dsc07188

蕪村の持つ原風景自身が愁いに満ちているのだろう。

情景に反応して微かに波立つ蕪村の心の機微。

「あわれ」「侘び」などに通じる日本人の心性なのかもしれない。

PEACE PEACE PEACE 再会

空間が満たされている。

音楽と柔らかな光と珈琲の香りに

アン・サリーのナチュラルヴォイスに、マンデリン・スマトラの苦みが解け合い、心地よい甘みに変わる。

フワフワのロールケーキ、甘さを押さえたクリームが珈琲の味を引き立てる。

少し冷めかけの珈琲を何気なく口に含むと軽い驚きを覚える。

温度が下がっても、いや温度が下がるほどにクリアさが増していくような気がする。

酸味、甘み、苦みがほどよく調和し心を和ませる。

r0012961

大阪でも神戸でも、美味しい珈琲を飲ませるお店が減ってきたような気がする。

私たちが、珈琲の本当の味を忘れてしまったことが原因かもしれない。

私は学生の頃、あるお店のオーナーに珈琲のことを教えてもらった。

何年もそこの珈琲を飲み続けて、味が変化していくのも知った。

昔は、お客がバーのマスターを育て、マスターがお客に飲み方を教えたように、

珈琲もまた伝えて育てなければ消えてしまう文化かもしれない。

珈琲の味を忘れてしまった人たちは、一度PEACE PEACE PEACEを訪ねて

本当の味を思い出した方が良いのかもしれない。

12月にこの店を訪れてから、家で丁寧に珈琲を淹れるようになった。

「珈琲はたくさんあるようですが、2種類しかありません。美味しい珈琲か美味しくない珈琲です。」とオーナーが教えて下さいました。

PEACE PEACE PEACEの珈琲は間違いなく「美味しい珈琲」です。